紫陽花(あじさい)を触る!(6月5日)
2023年6月5日 09時39分毎年、この季節になると、紫陽花(アジサイ)のことを思い出します。
それは、今から50年ほど前に読んだ童話が原因です。
私が小学生だった頃、関東地方の点字図書館から、月に2回「小さな童話」という、点字4ページの小冊子(?)が発行されていて、希望すると無料で送ってもらえました。母校では、点字使用の児童は、みんな読んでいました。
2年生のときだったと思います。6月前半に送られてきた冊子に「紫陽花」というお話が掲載されていました。
女の子が、明日の遠足を楽しみにしていました。けれども、今日は雨、明日も雨の予報です。傘を差して庭に出て、降り続く雨を恨んでいたら、見知らぬ女性が現れて、「遠足が中止になったら嫌だね!でも、雨が降って喜んでいる人もいるのよ!」と言います。「そんな人いるのかな?」と思っていたら、女性は居なくなって、目の前には雨に濡れた、大きな青い紫陽花が咲いていました、というお話でした。
学校でそのお話を読み、傘を差して寄宿舎へ帰る途中、弱視のお姉さんに頼んで紫陽花の傍につれて行ってもらいました。本当は何色だったのか怪しいものですが、僅かに残る私の視力では、その花は青く見えました。何だか怖い感じがしました。
それ以降、6月になると…、雨が降ると…、梅雨の季節になると…、あの童話を思い出すのです。
今年も6月がやってきて、梅雨の季節となりました。思い立って、同僚の先生に尋ねてみると、松盲の敷地内にも咲いているとのこと、早速、連れていってもらいました。
茎を触り、下へ下へと伝っていくと、どうやら1つの根から数本の茎が出ている様子。その茎はいくつもに枝分かれしていて、それぞれの枝の尖端に花が咲いているようです。また、枝からはたくさんの葉柄が出ていて、その尖端に葉がありました。
花は小さいものがたくさん集まって、中央が盛り上がった、丸い形を作っています。1つ1つの花には4枚の花びらがありました。
葉は卵形で、膨らんだ方を枝に向けて付いています。中央の葉柄から外へ開くようにまあまあ太い葉脈があり、その間を縫うようにやはり外に向かって細い葉脈がありました。周辺はややギザギザしていて、表面には光沢があり、やや皺が寄っていました。
連れてきてくれた先生によると、その花壇には赤・白・青の紫陽花があるようでしたが、なぜでしょう?赤い花の花びらがけっこう硬くて、その他の色の花びらは軟らかかったです。これが色の違いによるものか、それとも花が咲いてから経過した時間によるものか、ネットで調べてみましたが、分かりませんでした。
50年ほど前は花を見ただけでしたが、今回は木全体を触りました。
これからは、この季節になると、幼い頃の思い出と一緒にリアルなイメージをもって、紫陽花の花を思い浮かべることでしょう。
来年の今頃が楽しみになった1日でした。